学会発表
第24回日本抗加齢医学会
NUMBは表皮細胞の新しい細胞老化マーカーになりうるのか?
株式会社セプテム総研:相生章博
北海道科学大学薬学部:柏倉淳一
Applied and Developmental Research Directorate:今道友純
大阪工業大学 工学部 生命工学科:芦高恵美子
<発表内容の概要>
加齢による菲薄および老化細胞マーカーであるSenescence associated-β-galactosidase (SA-β-Gal)活性の発現が確認されている表皮層でNotch signalingのアンタゴニストであるNUMBは表皮細胞の増殖・分化を制御することで表皮の恒常性に関与していると考えられている。そこで,我々は細胞老化へのNUMBの関与を明らかにするために継代(継代数3(P3)~6(P6))によって細胞老化を誘導した正常ヒト表皮角化細胞 (NHEK)でNUMB発現量の変化を検討した。継代を重ねることでSA-β-Gal 陽性細胞数はP3で9.9 ± 0.7%であったのがP6では53.3 ± 6.7%となり顕著に増加した。同様にNUMB発現も免疫蛍光染色での蛍光強度,mRNA発現,タンパク質発現がP3と比較してP6でそれぞれ2.05 ± 0.17,2.14 ± 0.10,4.92 ± 0.67倍となり有意な増加が認められた。一方,NUMB発現が有意に増加したNHEKにおいて基底細胞マーカーであるintegrin β1の発現に変化は認められなかったのに対して,表皮細胞分化マーカーであるinvolucrin (IVL)の発現はP5およびP6でそれぞれ2.77 ± 0.57,2.57 ± 0.14倍となりP3と比較して有意に増加していた。NUMBの発現増加が細胞分化によるものかを確認する為にCa2+添加によって分化を誘導したNHEKでIVLおよびNUMB mRNAの発現量を検討した結果,IVL発現は有意に増加したもののNUMB発現に変化は認められなかった。P3とP6におけるNUMBおよびIVLの発現を3D解析で比較するとIVL陰性かつNUMB陽性の細胞が存在することが確認された。以上の結果より,継代によって誘導される細胞老化においてNUMBが老化マーカーとなる可能性が示唆された。今後,様々な細胞老化マーカーとNUMBの共発現を検討する予定である。
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