学会発表の概要

研究発表
テーマ

朝型夜型タイプの違いによる
月経前症状と生活スタイルとの関係
~概日リズム同調因子の視点から~

2024年5月31日(金)~6月2日(日)第24回日本抗加齢医学会総会にて、 セプテム総研の西川主任研究員が学会発表をおこないました。

西川主任研究員
広告スタッフが取材しました!

現代女性の健康維持と美容に役立つ研究が必要な時代に!

西川研究員

現代女性の健康と美容に役立つこととして、「月経前症状と生活スタイルとの関係」について研究しました。

今回の解析でも、メンバーズの皆さんのアンケート回答が大変有用な解析情報となりました。

「社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)」という概念

西川研究員

突然ですが「ソーシャルジェットラグ」という言葉はご存じですか?

西川研究員

ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)は、ここ10年くらいで出てきた概念です。海外旅行から帰ってくるとよく経験する「時差ぼけ」。これが日常でも起きている、という考え方です。例えば疲れを取ろうと休日に寝だめすると、月曜日がすごくだるいことがありませんか?

西川研究員

これがソーシャルジェットラグによる症状のひとつです。ソーシャルジェットラグを確認するには、睡眠時間の中央時刻(起床時刻と就寝時刻の真ん中)を見ます。この差に大きなズレが生じると、気分障害や生活習慣病のリスクを高めるなど、さまざまな病気になる確率が高まることがわかっています。
近年ではこのソーシャルジェットラグを整えよう、という概念に注目が集まっています。

ソーシャルジェット・ラグが大きくズレると… 休日でも睡眠の中央時刻をズラさないことが理想
西川研究員

性別や年齢に関係なく、すべての人にいえることですが、特に若い人や夜型の人に起こりやすいです。夜型の人は、平日に寝不足になるため、休日に寝だめしやすい傾向にあります。

西川研究員

今回発表した「月経前症状と生活スタイルとの関係」調査では、朝型夜型のそれぞれの体質にわけて、女性の悩みのひとつ“PMS(月経前症候群)”について研究しています。PMS:月経前に現れる身体的および精神的症状

概日リズムを構成する4因子

概日リズムは、人間の体内時計が24時間周期でおこなう生理的なリズムで、睡眠覚醒や体温、代謝、ホルモン変動などの生理現象に影響を与えます。このリズムは光や運動、食事タイミングなどの4つの因子によって調節されることがわかっており、概日リズムを整えることは、28日の月経周期を整え、PMS症状や肌の状態改善にもつながる可能性があります。

起床後の行動が、
一日の体調を左右する!?

光 運動 食事タイミング 社会的接触
西川研究員

24時間の体内時計を整えるには朝の光を浴びる、運動する、食事を摂る、そして、人とコミュニケーションを取る。この4つが重要です。特に朝の光は重要で、セロトニンの分泌を促進させます。
コミュニケーションを取るまでの時間も、体内時計(概日リズム)に影響します。例えば、人と話すまでの時間の長さが、PMS症状にも影響を与える可能性があるんですよ。

西川主任研究員
西川研究員

概日リズムの研究自体が新しいこともあり、PMS症状と照らし合わせた研究がほとんどない状態です。自分のリズムを早い段階で知ることができれば、若い頃から気を付けることができ、将来の健康にもつながりますよね。そのため、まずは私たちの体にとって重要な概日リズムとPMS症状との関連を調査しようというのが、今回の始まりです。

西川研究員

さらに、概日リズムにも個人差があり、朝型タイプは早起きが得意で、夜型タイプは夜更かししやすいなど、生活スタイルも異なります。今回は朝型と夜型のタイプに分けて、PMS症状と生活スタイルとの関係を明らかにするための解析を、PMS症状が強い20代~30代に焦点を当てておこないました。

朝型と夜型で、PMS症状にどんな違いがあるの?生活スタイルとの関係は?

女性の活躍が期待される現代社会において、女性特有の健康問題についての研究がますます注目を集めています。例えば経済産業省が調査したデータで、生理痛や月経が始まる前に現れる心身の不調であるPMS(月経前症候群)などによる、女性特有の体調不良による欠勤や生産性の低下で、1年間で約4,900億円もの労働損失が出ているというデータがあるんですよ。

労働損失のイラスト

解析結果①

朝型夜型はこんなに生活リズムが違う!?

朝型と夜型を比較すると、夜型は平日・休日ともに起床時刻と就床時刻がより遅く、特に平日の就寝時間が短い傾向に。平日と休日のソーシャルジェットラグにも有意な差が見られました。

朝型は自然光を浴びる時間が長い、起床・就床時間が早い 夜型は日没後のスマホ時間が長い、起床・就床時間が遅い ソーシャルzyっとラグが大きい

解析結果②

夜型はPMS症状が強く、症状の種類も多い→朝型夜型それぞれで、生活スタイルの改善方法を考える必要がある!?

解析結果グラフ

水分貯留:むくみや肌あれなどを評価した項目です。

関連する項目を黒丸で示しています
西川研究員

ソーシャルジェットラグが大きい夜型は、強い症状を感じる項目が多い結果となりました。

西川研究員

そうですね。概日リズムでも食事は大切な因子です。朝食についてはさまざまな議論がありますが、この結果を見ると、やっぱり朝食を食べることは大切だ、と私たちは捉えています。

生活スタイル改善も重要

臨床医のための月刊誌に
掲載されました!

セプテム総研が京都大学とおこなった共同研究の内容が、「メディカル・サイエンス・ダイジェスト 2024年6月臨時増刊号」に掲載されました。
今回の特集号の特別編集に携わる、著名な先生方が私たちの研究内容に興味を持ってくださり、今回のお声がけをいただいたことで、雑誌掲載に至りました。
私たちの研究が美容だけでなく、医学の観点からも重要だと認識されていることを大変嬉しく思います。

この研究内容については、
「学会発表報告」にも
掲載されています。
ぜひご覧ください!

相生研究員もこの学会で発表をおこないました!